<2ヶ月合格>公立学校事務職員採用試験対策

元学校事務職員が教える試験対策

まずは敵を知ること その3:~学科試験の科目について~

今回も「1敵を知ること」の続きです。

 例によって大阪府における平成28年度小中学校公立学校事務職員採用試験のデータを見てみましょう。

 大阪府のホームページから見れる受験案内によると、一次試験の内容は下記のとおりとなっています。

 

種   類   時   間     出 題 内 容
教養考査   1 時間50 分   職員として必要な一般教養について出題します。(択一式)

 

そして、大阪府のホームページには直近年度の過去問も全て掲載されています。(文章理解などは一部掲載されていません) 【問題の公表】という部分をクリックすればOK。

 これを見ると、出題範囲と科目ごとの出題数がおおよそ以下のとおりになっていることがわかるでしょう。

 日本史 1問   世界史 1問   地理  1問

 物理  1問   生物  1問   化学  1問   地学  1問

 数学  2問   国語  1問   政経・国際・時事など11問

 人権  1問   文章理解6問   英語  4問   

 判断推理6問   数的推理5問   資料解釈2問   (計45問)。

 

 さて、この科目別問題数を見て、あなたはどう感じましたか? 出題数の多い赤字の部分を集中して勉強すればなんとかなる?

 

・・・いいえ、学校事務職員試験に限ってはそれではまず通らないと、断言できます。

 断っておきますが、他の大卒程度の公務員試験であれば、一問ごとの難易度がそこそこ高いため、範囲が広い試験であっても苦手な科目をいくつかバッサリ捨ててしまい、それ以外の部分だけで点数を稼ぐ手法は有力です。実際、昔で言う国家二種試験などでは6割5分程度の得点ができれば一次試験は通りました。

 それに対して学校事務職員の採用試験は「高卒程度」が条件です。そのため問題難易度は他の公務員試験よりも低く、高得点が期待できるでしょう。ただし受験倍率もものすごく高いという罠があるため、8割5分程度得点しておかなければ一次試験で足切りを食らう可能性が十分にあるという難しさが特徴となっています。

 大阪府の学校事務職員採用試験の場合、出題数は45問です。8割5分取らなければならないとなると、落として良い問題はたった6問。つまり極端な話、最初から5科目捨てる作戦を取った場合、残り1問しか間違えられないということになります。いくら難易度が低いとは言え、数的推理や判断推理、文章理解、英語を1問ミスでクリアできる保証なんてありませんから、勉強科目を大きく絞るという作戦は、学校事務職員の試験においては悪手である、と認識すべきでしょう。

 学校事務職員採用試験は、未だに学力偏重です。面接での一発逆転はほぼ不可能、逆に筆記に自信ありなら本当に狙い目です。問題が簡単と言われる国立大学法人よりも難易度はさらに低く、各科目とも基礎が出来ていれば正答が導き出せる――この特徴を最初に押さえておくことこそ、学校事務職員採用試験に合格するために最重要なのです。

学校事務 2016年 08 月号 [雑誌]

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まずは敵を知ること その2:~大阪府の試験から見る真の倍率~

  さて、「敵を知ること」の続きです。

 例として大阪府における平成28年度小中学校公立学校事務職員採用試験のデータを見てみましょう。

  

採用予定者数      28名

志願者数       1,334名

第1次選考受験者数  605名

第1次選考合格者数  151名

第2次選考受験者数  109名

第2次選考合格者数     30名


⇒これを見ると、受験倍率は一見、1,334/30=44倍に見えます。

 ・・・が、これはあくまで見かけの倍率。志願者数が1,334人なのに対し、実際の「第1次選考受験者数」はというと、なんと半分以下の605名となっていることがわかるでしょう。これは、とりあえず出願だけしておいたものの、当日面倒になったり他の試験に合格したりして、実際は受験しなかった受験生が相当多数いるためです。

 そして大切なこと。このギャップはこの回だけの特殊な事例ではありませんし、また、大阪府だけに限ったことでもないのです。そうではなく、「公立学校事務職員」という試験自体がこういう性格を持っているのです。

 

 というのも「学校事務職員」というのは、公務員試験の受験生の中でも「すべり止め扱い」にされる場合が多いため(^_^;) 地方公務員になりたい受験生はたいてい、市役所や自治体で働きたいと考えて受験を行います。しかしひとつも内定が出ないと不安なので、最後の手段として「一応」、学校事務職員も出願する、というからくりです。そして運良く学校事務職員になれたとしても、そういう人たちは学校事務を腰掛け仕事として、働きながら勉強し、翌年以降、あわよくば第一志望に出願しなおすわけですね。私自身、学校事務職員に採用後、3年以内に他の公務員に鞍替えした人物を5人以上見てきました

 

 つまり、最初から学校事務職員になろうとしている人極めて少ないということ。

 ・・・これ、狙い目だと思いませんか?(*゚▽゚*) だって、学校事務職員の試験対策ができている受験生、めちゃくちゃ少ないんですもん。

 上の表から計算すれば、実質倍率は605/30=20倍。しかし、全員がきっちり対策しているとは思えないので、真の倍率はずっと下がると考えられます。相手になる人間は少ない、という意味ですね。

 

 倍率は見掛け倒し。とにかく一次試験で8割5分の得点を目指すこと。これさえ実現できれば まず通る。当時の私はそう判断して、次の作戦にかかりました。そう、まだまだ分析できる敵の情報はありますよね。

 

学校事務小六法2016

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まずは敵を知ること その1:~学校事務は学力重視~

 さて、学校事務職員採用試験についてです。私の場合は2ヶ月間という極めて短い期間に合格を勝ち取らなくてはならなかったため、最初の計画段階で十分に作戦を吟味しました。

 順序で言えば、以下のとおりです。


 1.敵を知る
 2.勉強する科目・捨てる科目を選択する

 3.最適な参考書・問題集を知る
 4.効率良い勉強方法を考える
 5.ひたすら勉強

 

 5は当たり前のことなので、1~4が作戦の部分ですね。今回は1について。

 他の公務員試験を受験したことのある方なら私よりも詳しいと思いますが、学校事務職員の試験は他の公務員とは異なる専用の対策が必須です。

 一般的に言えば、学校事務職員の一次試験(択一式学科試験)には以下の特徴があります。

 

1.難易度が低い

2.教養科目しか出題されない

3.受験倍率が非常に高い

4.1~3により、合格最低ラインが非常に高い

5.にもかかわらず出題範囲が広い

 

 このように、学校事務職員の一次試験は他の公務員試験と比較して、高得点が求められるということになります。具体的には、8割5分程度得点しなければ一次試験で足切りを食らう可能性がある、ということ。他の公務員試験であれば6割5分程度の得点率でも合格できる場合がある中、このボーダーラインの高さは脅威と言えるでしょう。

 とはいえ、この厳しい厳しい一次試験さえ通れば後はこっちのもの。全自治体がそうだとは言いませんが、基本的に学校事務職員は学力重視の試験となっています。

 私は受けた自治体の場合、一次試験の後で二次試験として論文と面接があったのですが、面接はたった10分間の個別面接のみでした。さらに私はそこで「自分の受験番号を忘れる」というとんでもない大ポカをやったのですが、それでも普通に合格しました(^_^;) こと学校事務職員試験においてはいかに一次試験が重要か、わかっていただけると思います。

 

 

学校事務公務員試験 早わかりブック 2017年度

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自分の受験結果

  •  特定されるのも恥ずかしいので受験年度は秘密にしますが、私はその昔、関西にある某大規模自治体の公立学校学校事務職員採用試験を受験し1回目で見事採用に至りました。たまたま運が良かったこともあり、一次試験(マーク式筆記試験)本番の得点率は驚異の93%です(45問中42問正解)。

 落としたのは最初から捨てていた化学と苦手な世界史、そしてもう1問は文章理解だったか英語だったか・・・とにかく正答がどれなのか判別できない問題だったため、当時の自己採点上はいちおう「誤答」として扱いました。今となってはわかりませんが、もし誤答扱いとしたその問題が正解なら私の正解率は95%。完全合格と言って良いレベルの出来に、打ち震えたのを覚えています。なんと言っても私の受験した自治体では「一次試験の点数が二次試験に持ち越し」されるんです。二次試験で多少のミスが出たとしてもこのリードはとてつもなく大きく、二次試験に安心して臨める材料になりました。

 

 自分で言うのも何ですが、学校事務職員の存在を知った9月から11月の一次試験日までのわずか2ヶ月という勉強期間でこの結果を出せたというのは、本当に神がかっていたなあと思います(笑) それほどまでに前職が嫌で嫌で仕方なく、絶対に脱出したいというモチベーションが勝ったということなんでしょう。だって当時の職場は毎日夜の11時までサービス残業があり、その上週休日も出勤しなくて済む日の方が少ないようなスーパー激務企業だったんですから・・・。給料も別に良いわけでもなかったですしね(^_^; たまたまネットを検索していると学校事務がヒットしたのが救いの糸だったという・・・。

 そういうわけで運の要素もあったのかもしれませんが、私が2ヶ月間で学校事務職員に合格したのは紛れもない事実です。ただし、私は2ヶ月間で絶対に合格するために、自分なりの作戦を練ってから採用試験と戦いました。このブログのメインコンテンツはその作戦(勉強法)。誰もに当てはまるかはわかりませんが、少しでも学校事務を目指す方の役に立てればと思い、次回より順次書き留めていきます。

 

本当の学校事務の話をしよう: ひろがる職分とこれからの公教育

本当の学校事務の話をしよう: ひろがる職分とこれからの公教育

 

 

※なお、本番の自己採点については、2ちゃんねるの公務員板を活用しました。各自治体の試験があるたび「みんなで協力して自己採点しよう」というお決まりの流れが生まれるので重宝しました。そうそう、私の受験した自治体では「問題冊子持ち帰り可」だったのですが、持ち帰り不可の自治体だったとしても、この板の住人たちは問題を復元して自己採点を行うんですよね。すごすぎる記憶力に驚きますよ(^_^; 

学校事務を勧める理由

 はっきり言って公立学校事務職員の採用試験を受験する人の多くは、「他の公務員試験のすべり止め」として考えている程度でしょう。もし仮に合格したとしても、自分の本当の第一希望に合格するまでの腰掛け仕事――そのように捉えている人が大勢いることも事実です。

 しかし、ならば学校事務職員という職はそんなにつまらなく魅力のないものなのでしょうか? ――答えはノーです。

 ここはあくまで受験支援ブログなので仕事のやりがいについて深くは言及しませんが、学校事務職員は未来ある子ども達に関わり、心から「楽しい」と言える仕事なのは間違いありません。「こうすればもっと子どもにとってプラスになるんじゃないか?」とか「この設備は危険だから早く修理しないと」とか、何をするにしても「子ども中心」に考えて仕事できるというのは大きく、他の事務では決して味わえない前向きな想いを常に持つことができるのです。
 もちろん地域住民や保護者からのクレーム、諸費用の督促などツライ仕事も時にはありますが、私の前職だった民間企業と比べると環境の良さは天と地の差、「こんな天国のような仕事がこの世にあったのか!」というのが学校事務に採用された1年目の率直な気持ちでした。定時帰りが基本ですし、市役所と比べても相当、学校は精神衛生上クリーンな職場と言えます。職そのものについて言えば上述のとおり、抜群のワークライフバランス
 また採用試験について言えば「試験の敷居の低さ」が学校事務を勧められる理由の一つになっています。このブログは試験対策がメインなので、次回からは主にそちらについて書いていきたいと思います。

 

学校事務公務員試験 早わかりブック 2017年度

学校事務公務員試験 早わかりブック 2017年度

 

 

ごあいさつ

皆様はじめまして。

学校事務職員のタツマという者です。現在は訳あって学校事務職員を退職し、自営業を継ぐような仕事で生計を立てています。


最近はようやく仕事が軌道に乗ってきて当時の思い出に浸れる余裕が出てきたのですが、「そういえばあの頃は頑張って公立学校事務職員の勉強をしたなぁ。公務員試験対策のホームページはいっぱいあったけど、学校事務職員対策特化のページはなくて勉強に苦労したっけなぁ・・・(^_^;)」なんてことを思い出しました。せっかくなので記憶の新しいうちに当時のことを書き留めておこうと思い、このブログを立ち上げた次第です。

 ブログを作った理由がふたつあります。
 ひとつは、せっかく勉強したのだから、自分のためにその道標を作っておこうと思った事です。生涯学習が叫ばれる昨今ですが、この先「勉強」と言えるほどの勉強を自分自身がすることもないかなぁと思うので、自分が頑張った最後の勉強の記録を残したいという気持ちから。
 そしてもうひとつは当時の私と同じようにが学校事務職員を目指している方が試験勉強をする際の参考になったらいいな、という思いからです。他の公務員試験と学校事務職員の試験とは、似て非なる物です。国家一種試験(現在でいう「国家公務員総合職試験」)に通ったからと言って学校事務職員の

試験にも必ず通るかと言えば、そうでもないというのが面白いところ。(いや、学力的には国家一種に受かる人なら普通は通るんですけど(^_^;) 対策しないと思わぬウッカリもありえるほど性格の違う試験だと言うことです)。
 
 
 「学校事務職員対策はこのブログで!」を目指して、頑張って更新していきたいと思います。
 
※社会人で本業もあるので、不定期更新となります。生暖かく見守っていただければ幸いです。

 

学校事務職員という仕事・生き方―キャリア・ステージごとの悩み、学び、成長

学校事務職員という仕事・生き方―キャリア・ステージごとの悩み、学び、成長